船上での戦略会議に合わせ、クリスタル・シンフォニーに乗船する機会を得た。
5日間の乗船は、この船の懐の深さを実感させる、豊かな体験だった。
これまでに数多くの船に乗ってきたが、クリスタルクルーズは今回が初めてだ。船上の乗務員は、どのような心のトーンで乗客に接しているのか。世界トップクラスのサービスがどのように形作られているのか、しっかりと観察し、今後の販売に活かす材料を得ることを目指しながら、過度な期待を抱かずに乗り込んだ。
乗船地はフィリピンのマニラ。この港がターンアラウンドとして使われることは滅多にないが、今回は特別に途中乗船が許可されている。前泊はマニラ郊外の静かなビジネス街に設定し、そこから港へは手配した車で向かった。
マニラ市街の道路の混雑は、まるでアジアの活気を象徴するかのようで、優雅なバンの中にいる私はその一部であることを強く感じていた。運転手も信号が変わるギリギリのタイミングを狙い、巧みに車を進める。
そんなこんなで、ホテルから約2時間を経て港に近づくと、クリスタルの美しいファンネルが姿を現した。
チェックインは特別にレセプションデスクで用意されていた。通常はターミナル側で行われるが、今回は違う。手続きを進めながら、振り返ると、3層吹き抜けの空間が目に飛び込んできた。近くに流れる滝の音と、クリスタルコーブでバイオリニストが奏でる美しい音色が、広々としたアトリウムに流れ込む。一瞬にして、私はクリスタルの船上の人となったことを理解した。
他の船との空気感の違いを感じる。洗練とはこのようなことを言うのだろう。
スイートルームは、A&Kが船を購入した後、少し改装が施され、現代の気分に合う上品な仕上げがなされている。途中乗船の私を気遣うように、バトラーが挨拶に来た。彼はとても優しい面持ちの素敵なバトラーだった。
「お部屋でゆっくりされますか?お急ぎであれば、お荷物をほどくのをお手伝いしますが、いかがでしょうか。」
ランチはビュッフェスタイルにすることにした。新鮮なサラダや豊富なドレッシング、前菜や世界のチーズのアソート、熟したパイナップルや甘いスイカ、アジア料理やイタリアン、豊富なスープ類、サンドイッチやパニーノまで、このサイズのクルーズ船の料理としてはこれほどのバラエティは圧巻、そしてこれがクリスタルなのだと実感した。
「Bubbleを少しいかがですか?」席に着くとすぐに声をかけられ、軽やかに飲めるスパークリングワインのことを「泡」と呼ぶその響きに、思わず頷く。暑いマニラでのランチタイムにぴったりな軽めのスパークリングワインは、心地よい余韻をもたらしてくれた。
乗船日のランチまで記したが、すでにこれだけで、クリスタルの違い「CRYSTAL DIFFERENCE」を感じ取っていただければ、何より嬉しい。
続きは、またお話ししましょう。
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